スコットランド北の果て、ジョン・オ・グローツの美しい港町に2022年誕生したエイトドアーズ蒸留所は、180年ぶりにこの地で復活を遂げたウイスキー造りの新星です。
伝統を重んじながらも現代的な技術を取り入れ、熟成庫の海辺の風土を生かした独自のフレーバーを追求。
この記事では、蒸留所の理念、製造工程、代表的なウイスキー、訪問ツアー情報、オンライン購入方法まで網羅的に解説し、ウイスキーを愛する全ての人にエイトドアーズの魅力をお届けします。
エイトドアーズ蒸留所の基本情報
エイトドアーズ蒸留所はスコットランド本土最北端、ジョン・オ・グローツに位置する小規模なマイクロディスティラリーです。
2022年設立、オーナーは地元出身のケリー・キャンベルさんとデレク・キャンベルさん夫妻。
純粋なジョン・オ・グローツの水を仕込み水に用い、Speyside Copper Works製の銅製ポットスチルで製造。
小規模ながら高品質を追求し、地元コミュニティと密接に関わりながら運営されています。
項目 | 内容 |
---|---|
所在地 | スコットランド本土最北端ジョン・オ・グローツ |
設立年 | 2022年 |
所有者 | ケリー・キャンベルさん、デレク・キャンベルさん夫妻 |
仕込み水 | ジョン・オ・グローツの純粋な水 |
特徴 | 特注の銅製ポットスチル、小規模生産、高品質追求、地域コミュニティとの連携 |
エイトドアーズ蒸留所の歴史と背景

設立の経緯
ジョン・オ・グローツはかつて1826年に蒸留所が存在し、1837年に閉鎖されて以来180年以上、ウイスキー造りが途絶えていました。
ケリーとデレク夫妻は地元愛と伝統復活への思いを胸に2018年頃から計画をスタートし、約4年の準備を経て2022年9月に正式オープン。
かつて未完成の建物の跡地を活用し、観光客の往来が多いメイン駐車場近くという好立地を選びました。
年 | 出来事 |
1826年 | ジョン・オ・グローツ最初の蒸留所創設 |
1837年 | 旧蒸留所閉鎖 |
2018年頃 | エイトドアーズ蒸留所計画開始 |
2022年9月 | エイトドアーズ蒸留所正式オープン |
2025年2月 | Seven Sons Whiskyリリース(Sakaz公式情報) |
(発売日未公表) | FIVE WAYS Blended Liqueurリリース予定(公式サイト記載なし) |
製造工程のこだわり
エイトドアーズ蒸留所ではSpeyside Copper Works製の特注ポットスチルを採用。
ウォッシュスティルは1,700L、スピリットスティルは1,300Lと小型で、銅との接触を最大化する設計が特徴です。
発酵にはファーメンティス社M-1酵母を使用し、軽やかでフルーティーなフレーバーを生み出します。
100時間以上の長期発酵を行い、丁寧な蒸留と職人技が活きています。
特徴項目 | 内容 |
---|---|
ポットスチル | Speyside Copper Works製の特注品、ウォッシュスティル1700L、スピリットスティル1300L |
酵母 | ファーメンティス社M-1酵母を使用しフルーティーさを付与 |
発酵時間 | 100時間以上の長期発酵 |
特徴 | 銅との接触を最大化する設計、手作業による丁寧な管理 |
代表的なウイスキーの紹介
Seven Sons Whisky

Seven Sonsは、エイトドアーズ蒸留所のフラッグシップともいえるシリーズ。
伝説的なブレンダー、ジョン・ラムゼイ氏の監修のもと、伝統と革新を融合させた味わいを追求しています。
ファーストフィルのシェリーシーズニング樽を中心に熟成を行い、フルーツケーキやハチミツ、トフィーなどのリッチな香りと奥行きのある味わいが特徴です。
現在は、エイトドアーズの原酒が使われているわけではなく、ほか蒸留所の原酒を使って作られています。
FIVE WAYS Blended Liqueur

FIVE WAYSは、エイトドアーズ蒸留所が手がけるブレンデッドリキュール。
スコットランド産モルトと穀物原酒を用い、柔らかな甘みとスパイス感を両立しています。
オレンジピールやバニラ、ナツメグといった華やかさがあり、カクテルベースとしてもおすすめ。
食後酒や贈り物にも最適な一品です。
エイトドアーズ蒸留所のフレーバーとテイスティングノート
エイトドアーズのフレーバープロファイル
エイトドアーズ蒸留所のウイスキーは、アーモンド、ヘーゼルナッツ、クローブ、ハチミツ、トフィー、オーク、バニラ、オレンジなど多彩なフレーバーを備えています。
ファーストフィルシェリー樽由来のリッチさと、ジョン・オ・グローツの冷涼な海気によるゆっくりとした熟成が生むバランスが魅力です。
テイスティングのコツ
ゆっくりと香りを感じ、フルーツケーキやスパイスの層を意識しながら口に含むのがおすすめです。
少量の加水でバニラやオレンジのニュアンスが開き、さらに複雑さを楽しめます。
ピートを使わないノンピートモルトを基本にするため、繊細な風味を損なわないテイスティングがポイントです。

訪問者向けの体験ツアー

蒸留所見学の内容
エイトドアーズ蒸留所では、見学ツアーを通じて製造現場を間近に見ることができます。特注ポットスチルやマッシュタン、発酵槽を丁寧に案内しながら、発酵や蒸留のこだわりを解説。ウォッシュバックでの手作業の酵母投入など、小規模ならではの丁寧さを体感できます。
試飲体験の詳細
舞台裏ツアー 15ポンド(約2,800円) | 短時間 テイスティング 10ポンド(約1,900円) | テイルズ& ティップルズ 12ポンド(約2,200円) | |
---|---|---|---|
所要時間 | 60分 | 30分 | 60分 |
試飲 | ニューメイク Seven Sons FIVE WAYS | Seven Sons FIVE WAYS | Seven Sons FIVE WAYS |
内容 | 製造エリアや倉庫見学。テイスティングルーム体験。 | ガイド付きで香りや風味を解説を聞きながら楽しむ | 地元の伝説や蒸留所の物語を聞きながらドリンクを楽しむリラックス体験 |
2025年からは蒸留所体験が3つのオプションに刷新され、舞台裏ツアー(60分/15ポンド)、短時間テイスティング(30分/10ポンド)、物語を楽しむテイルズ&ティップルズ(45分/12ポンド)から選択可能です。
各プランではニューメイクやSeven Sons、FIVE WAYSの試飲も含み、景色の良いテイスティングルームでペントランド湾を望みながら楽しめます。
午前10時からバーも営業し、フライトは11時から利用可能。
予約は公式サイトで、曜日や時間帯ごとのオプション詳細も確認できます。
ツアーの最後には熟成中の原酒やブレンデッド製品のテイスティングを楽しめます。ファーストフィルシェリー樽の甘やかさや、ジョン・オ・グローツの気候が生む繊細な熟成感を自分の舌で確かめることができ、ウイスキー好きにとって貴重な学びと発見の場です。
オンラインショップでの購入方法
購入に関する注意点
公式サイトのオンラインショップでは限定ボトルやギフトセットを購入可能です。
ただし、生産量が小規模であるため在庫切れが発生しやすい点には注意が必要です。
エイトドアーズ蒸留所に関連する他の蒸留所
スコットランドの著名な蒸留所
エイトドアーズ蒸留所はスコットランド最北端に位置しており、その気候や環境を取り込んだウイスキーづくりを徹底しています。
エイトドアーズができるまでブリテン島最北だった「ウルフバーン」や「オールドプルトニー」などを味わってみると共通点が楽しめるかもしれません。
日本における人気蒸留所との比較
日本のウイスキー蒸留所も、小規模かつクラフト志向が近年注目されており、数多くの個性的なマイクロディスティラリーができました。
例えば長濱蒸溜所や厚岸蒸溜所のように、地域性を前面に打ち出しつつ独自のフレーバーを追求する姿勢はエイトドアーズ蒸留所と共通しています。
どちらも土地の個性を最大限に活かしたウイスキー造りを行っており、同じクラフト蒸留所として比較してみると面白いかもしれません。
ウイスキーをもっと楽しむために
ウイスキーの飲み方とペアリング
エイトドアーズ蒸留所のウイスキーはストレート、少量加水、ロックなど多彩な飲み方に対応します。
ナッツやドライフルーツ、熟成チーズとのペアリングが特におすすめ。
食後のリラックスタイムを豊かに演出します。
ウイスキーイベントやフェスティバルの紹介
スコットランド国内外では数多くのウイスキーフェスティバルが開催されています。
エイトドアーズ蒸留所も今後、各種イベントへの出展やコラボを予定しているとの情報も。
また名古屋の「株式会社サカツコーポレーション」が代理店となっており、日本のイベントにも参加しています。
公式SNSをフォローして最新情報をチェックし、現地イベントで新たな出会いを楽しみましょう。
まとめ
エイトドアーズ蒸留所は、ジョン・オ・グローツという特別な土地の歴史と自然を活かし、クラフトマンシップあふれるウイスキーを生み出しています。
地元コミュニティとの連携や伝説的な職人の監修を通じ、品質と物語性を両立。
訪問ツアーやオンラインショップでの購入を通じて、ぜひその魅力を体感してみてください。
コメント