スコットランド西岸の小さな港町「キャンベルタウン」。
かつて30を超える蒸留所があったこの地も、いまや3つを残すのみ。
それでも、潮風を思わせる独特のスモーキーさと複雑さを持つモルトを今も生み出しています。
本記事ではキャンベルタウンモルトの定義や特徴、主要蒸留所と銘柄、歴史、テイスティングやフードペアリング、購入ガイドまで詳しく解説。
初心者から愛好家まで、キャンベルタウンモルトの奥深い世界をじっくり楽しむための記事です。

キャンベルタウンモルトとは

キャンベルタウンモルトとは、スコットランド西部アルガイル半島の先端、キャンベルタウン地域で生産されるシングルモルトスコッチを指します。
かつて「世界のウイスキー首都」と呼ばれ、30以上の蒸留所が林立した歴史がありますが、現在は数軒にまで減少しています。
それでも独特の潮風、ピート感、オイリーさを備えた個性的な味わいは世界中の愛好家に高く評価されています。
キャンベルタウンモルトの特徴
キャンベルタウンモルトは、潮風を感じさせる塩気やブリニーさ、オイリーでフルボディな質感、しっかりしたピート感、ドライなフィニッシュなどが特徴です。
アイラモルトのスモーキーさとも異なり、より土っぽさや海を思わせる複雑さを持ちます。
製法も伝統的で、フロアモルティングやローカルバーレイを使う蒸留所もあります。
少数生産だからこそ出せる個性が魅力です。
- 潮風を感じさせる塩気やブリニーさ
- オイリー
- フルボディな質感
- しっかりしたピート感
- ドライなフィニッシュ
キャンベルタウンの蒸留所

スプリングバンク蒸留所
キャンベルタウンを代表する伝統的な蒸留所。
敷地内で製麦からボトリングまで一貫管理し、3基の蒸溜器で3種類のウイスキーを製造しています。
- スプリングバンク(2回半蒸溜、程よいピート)
- ロングロウ(2回蒸溜、ヘビーピート)
- ヘーゼルバーン(3回蒸溜、ノンピート)
塩気を含む独特の味わいと伝統製法へのこだわりは、この地域の看板を背負う誇りを感じさせます。
グレンガイル蒸留所
キャンベルタウンに2004年復活した小規模蒸留所で、キルケランブランドを製造。
1925年に閉鎖された旧グレンガイルの跡地を再利用し、年間3カ月程度、スプリングバンクの職人が蒸溜を行っています。
原料はスプリングバンクでフロアモルティングしたライトピート麦芽。
2回蒸溜で作られる伝統に忠実なスタイルのモルトウイスキーです。
複雑でバランスの取れた風味が、キャンベルタウンモルトの魅力を楽しませてくれます。
グレンスコシア蒸留所
1832年創業の歴史ある蒸留所で、キャンベルタウンで今も稼働する貴重な存在です。
バーボン樽熟成による華やかさと港町特有の潮風を思わせる香りが特徴で、ピートと非ピート両スタイルを生産。
職人技と近代技術を融合しながら品質を磨き続け、伝統の風味を大切に守り続けています。
キャンベルタウンモルトのおすすめ銘柄

スプリングバンク 10年

グレンスコシア キャンベルタウンハーバー

グレンスコシア 10年
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・キャンベルタウン |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽メイン |
熟成年数 | 10年 |
「風薫る伝統のキャンベルタウンモルト」
1832年創業の老舗グレンスコシア蒸留所が贈る、ノンチルフィルターで10年熟成のシングルモルト。
1stフィルバーボン樽由来のクリーミィなバニラと青い柑橘、柔らかな潮の香りが織り成す絶妙なバランス。
スパイス感とともに、古き良きキャンベルタウンの魅力を存分に楽しめる1本です。

ゴールドロンズ

キルケラン 12年

キャンベルタウンウイスキーの歴史

キャンベルタウンは19世紀、良質な水源や大麦、石炭の入手のしやすさに恵まれていました。
港を活かした物流も発展し、30以上の蒸留所が稼働して「世界のウイスキー首都」と称されます。
アメリカ市場向けの輸出も盛んでしたが、禁酒法や世界大戦、鉄道輸送の変化、ブレンデッドウイスキーの台頭などが急速な衰退を招きました。
利益優先で粗悪品を生産した結果、悪評も広まり多くの蒸留所が閉鎖されました。
現在はスプリングバンクとグレンスコシアが伝統製法を守り続け、グレンガイルも2004年に再興。
かつての隆盛と衰退を経てなお、個性豊かなモルトを作り続けています。
キャンベルタウンウイスキーの歴史年表
年代 | 出来事 |
---|---|
1609年 | キャンベルタウンでの蒸溜記録が初めて登場 |
19世紀初頭 | 良質な水、大麦、石炭、港湾輸送で蒸留所が急増 |
19世紀後半 | 30以上の蒸留所が稼働し「世界のウイスキー首都」と称される |
1920年~1933年 | アメリカ禁酒法の影響で主要輸出先を失う |
1920年代 | 粗悪品生産による評判悪化、輸送の海路優位性低下 |
1930年代 | 世界恐慌、増税、戦争などで急速に閉鎖が進む |
1934年 | 稼働蒸留所が2軒にまで減少(スプリングバンク、グレンスコシア) |
2004年 | スプリングバンク主導でグレンガイル蒸留所が復活 |
現在 | スプリングバンク、グレンスコシア、グレンガイルの3蒸留所が操業中 |
キャンベルタウンモルトの楽しみ方

テイスティングのコツ
キャンベルタウンモルトは香りの層が豊かで複雑です。
まずはストレートで香りを深く嗅ぎ、軽く口に含みゆっくりと広がる塩気、スモーク、オイリーな質感を味わいましょう。
少量の加水で香りがさらに開きます。
おすすめのフードペアリング
潮風を思わせる塩気とスモーキーさは、スモークサーモンや生ハム、ブルーチーズなど風味の強い食材と好相性。
シェリー樽熟成由来の甘さはドライフルーツやダークチョコレートともマッチします。
伝統的なスコットランド料理ハギスにもピート香がアクセントを加えます。

- ラムひき肉 400 g
- 鶏レバー 100 g
- 玉ねぎ 1 個
- オートミール 100 g
- 牛脂 50 g
- 塩 5 g
- 黒コショウ、ナツメグ、タイムなどお好みのスパイス
- 鶏レバーをブレンダーでペースト状にしておく。
- 牛脂は細かくカット(5㎜角ほど)
- ラムひき肉、鶏レバー、牛脂、オートミール、塩、スパイスをさっくり混ぜ合わせる。
- 鍋に混ぜた材料を詰め、アルミホイルで密封してから中火~弱火で1時間以上蒸し焼きにする。
- お皿に盛り付けて、お好みでマッシュポテトや煮込んだカブ、グリーンピースを添えれば完成。

キャンベルタウンモルト購入ガイド

オンラインショップの選び方
キャンベルタウンモルトは生産量が少なく品薄になることも多いです。
信頼できる専門店や公式代理店のオンラインショップを利用することで、正規品を安心して購入できます。
限定ボトルやフェスティバルボトルなどもチェックしましょう。
実店舗での購入ポイント
専門的な酒販店や百貨店のウイスキーコーナーでは、試飲会や店員の知識を活用できます。
初心者にはおすすめ銘柄を提案してもらいながら選ぶのも安心です。
キャンベルタウンモルトは入荷数が少ないため、在庫状況を事前に問い合わせるとスムーズです。
まとめ
キャンベルタウンモルトは、潮風を感じさせる塩気、オイリーさ、土っぽいピート香が魅力のスコッチウイスキーです。
少数生産だからこそ守られる伝統製法や個性豊かなラインナップを楽しみながら、自分好みの一本をぜひ見つけてください。
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