ウイスキーエキスパートを目指そうか迷っている。
「本気で挑戦してみたい気持ちはある。でも、実際のところどうなんだろう?」
- 難易度はどれくらい?
- 何時間くらい勉強すれば合格できる?
- 独学で本当にいける?
- プロフェッショナルとの違いはどこにある?
こうした疑問は、ごく自然なものです。
実際、僕自身も受験を決める前はまったく同じことを考えていました。情報を集めても断片的で、全体像が見えない。不安だけが先に立つ──そんな状態からのスタートでした。
この記事では、ウイスキーエキスパート試験の全体像から合格戦略までを体系的に解説します。
ウイスキーエキスパートとは何か

ウイスキーエキスパートは、日本ウイスキー文化研究所が主催する「コニサー資格認定制度」の一段階目です。
位置づけとしては、
エキスパート → プロフェッショナル → マスター・オブ・ウイスキー
というステップ構造になっています。
エキスパートは「筆記試験中心の知識資格」です。
テイスティング実技試験はありません。
そのため、体系的な知識を身につけることが合格の鍵になります。
試験概要(2026年度版)

まずは当日の流れを押さえておきましょう。
■ 試験日時
2026年5月24日(日)
13:30 受付開始(再発行受付含む)
14:20 オリエンテーション
14:30 試験開始
16:00 試験終了(90分)
受付から試験終了まで約2時間半。余裕をもって会場入りするのがおすすめです。
■ 試験基本情報一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験方法 | 筆記試験(選択式100問予定/90分) |
| 受験資格 | 20歳以上(職種・経験不問) |
| 東京会場 | 東京都23区内予定(2月下旬公表) |
| 大阪会場 | CIVI研修センター新大阪東 |
| 持ち物 | 受験票・筆記用具・時計・顔写真付本人確認書類 |
| 受験料(会員) | 18,700円(税込) |
| 受験料(一般) | 22,000円(税込) |
合格者には認定証およびバッジが発行されます。
ウイスキーエキスパートの難易度は?
結論から言えば「正しく勉強すれば十分合格できる。ただし、数字以上に“知識の密度”が問われる試験」です。
合格率(公式データより)
日本ウイスキー文化研究所が公表している受験データを見ると、直近数年の合格率は概ね60〜72%の範囲で推移しています。
- 2023年:約60%台
- 2024年:約72%前後
- 2025年:約70%前後
累計平均では約64%前後となっており、「極端に難関」というよりは“対策型試験”と言える水準です。
合格ラインは何割?
公式な合格基準点は公表されていませんが、例年の平均点や合格率から推測すると、得点率65〜70%前後が一つの目安と考えられます。
安全圏を狙うなら「7割以上」を目標に準備するのが現実的です。
難しく感じる理由
合格率だけを見ると高く感じますが、体感難易度が上がる理由は以下にあります。
- 蒸留所名・創業年・法定定義など暗記量が多い
- 数字問題(熟成年数・アルコール度数・法規)が頻出
- 世界5大産地+新興国まで幅広く問われる
- ジャパニーズウイスキーの最新定義や動向も出題対象
単なる“ウイスキー好き”の知識では足りず、体系的に整理された理解が求められます。
つまり、感覚ではなく「制度としてのウイスキー」を理解できているかが問われる試験です。
勉強時間の目安

勉強時間の目安(タイプ別)
| 受験タイプ | 勉強時間の目安 |
| ウイスキー愛好家 | 80〜120時間 |
| 初学者 | 150時間以上 |
あくまで目安です。重要なのは「総時間」よりも“反復回数”。
同じ範囲を何度も回すことが合格への近道になります。
3ヶ月合格スケジュール例
- 公式テキストを1周(細かく覚えようとしない)
- 各章ごとに「重要キーワード」だけをチェック
- 蒸留所・法律・定義など暗記分野を洗い出す
この段階の目的は“理解すること”。暗記はまだ完成しなくて大丈夫です。
- テキスト2周目(重要箇所をマーカー)
- 過去問を解き始める(まずは1年分)
- 間違えた問題をノート化せず、テキストに戻って確認
ここで「出題の癖」に慣れます。数字・法規・定義は特に重点的に。
- 過去問を合計3年分解く
- 一問一答形式で毎日回す
- 7割以上安定して取れる状態を作る
本番2週間前からは“新しい知識”より“既存知識の精度”を上げる意識が重要です。
週あたりの目安は6〜8時間。平日30分〜1時間+休日2〜3時間の積み上げで十分到達可能です。
ちなみに僕自身は、2ヶ月目に入った段階から3年分の過去問を本番と同じく“時間を計りながら”解くようにしていました。
時間感覚に慣れておくことで、本番で焦らなくなります。
さらに試験直前は、次のステップであるプロフェッショナル試験を見据え、プロフェッショナルの過去問を「選択肢を隠した状態」で解く訓練も実施しました。
知識を“思い出す力”を鍛えておくと、エキスパート本番でも選択肢に惑わされにくくなります。
点数が伸び悩む人に共通する傾向

ここからは少し視点を変えて、「なかなか点数が安定しないケース」に見られる傾向を整理します。
責める意図ではなく、あらかじめ避けたい落とし穴として読んでください。
① 「製造」分野を後回しにしてしまう
スコッチやジャパニーズなど、毎年動きのある産地情報に意識が向きがちですが、実は得点の土台になるのは“製造工程”です。
糖化・発酵・蒸留・熟成といった基本構造を理解していないと、少し角度を変えた問題に対応できません。
変動の多いトピックばかり追いかけると、情報を詰め込むだけになり、試験直前で整理が間に合わなくなります。
② 過去問だけで対策してしまう(「なぜ」を追わない)
過去問は非常に重要ですが、丸暗記だけでは対応しきれません。
本試験では、
- 数字を少し変えた問題
- 選択肢の言い回しを変えた問題
- 定義の一部だけを問う問題
が頻出します。
「なぜその答えになるのか」を説明できるレベルまで理解しておくことが、安定得点につながります。
安井ウイスキーエキスパートとしてウイスキーの紹介をするときに、ここが一番役に立ちます。
③ 過去問を“時間無制限”で解いている
ウイスキーエキスパート試験は選択肢の文章量が比較的多く、丁寧に読んでいると時間が足りなくなることがあります。
本番形式(90分)で解く練習をしていないと、実力があっても取りこぼす可能性があります。
2ヶ月目以降は、必ず時間を計りながら解くことをおすすめします。
これらを意識して対策すれば、得点は安定しやすくなります。大切なのは“量”よりも“理解の深さ”です。
テイスティング対策は必要?

ウイスキーエキスパート試験に官能(テイスティング)試験はありません。
そのため、合格“だけ”を目的にするなら、必須ではありません。
ただし――将来的にプロフェッショナルを目指すのであれば、今のうちから香味表現のトレーニングを始めておくことを強くおすすめします。
プロフェッショナルでは、香りや味わいを言語化する力が問われます。
知識として理解していることと、実際に感じ取れることは別物です。
そして何より、ウイスキーは「楽しみながら覚える」のが一番効率的。
- テキストを読むだけでなく、実際にさまざまなウイスキーを飲み比べてみる。
- 香りを意識して嗅ぐ。
- 口に含んだときの変化を言葉にしてみる。
そうやって“体験”と知識を結びつけていくと、製造や熟成、樽の違いなどの理解も一気に深まります。
試験勉強のためだけでなく、自分のウイスキー人生を豊かにする時間として味わう――その積み重ねが、結果的に合格への近道になることも多いです。
ウイスキー検定との違い
まず主催体制が異なります。
ウイスキー検定は、運営は同じウイスキー文化研究所ですが、主催は一般社団法人ウイスキー検定実行委員会です。
一方、ウイスキーエキスパートはウイスキー文化研究所が主催するコニサー資格認定制度の一段階となっています。
制度的な違い
| 項目 | ウイスキーエキスパート | ウイスキー検定 |
|---|---|---|
| 位置づけ | コニサー資格制度の一段階 | 検定試験(級制) |
| 主目的 | 専門知識の体系的証明 | 知識レベルの測定 |
| 進路 | プロフェッショナルへ進級可能 | 級ごとのステップアップ |
| 実務性 | 業界志向が強い | 入門〜愛好家向け |
ウイスキー検定は幅広い層が受験する知識測定型の試験。
ウイスキーエキスパートは、より専門性を高めたい人が進む“資格制度の入り口”という位置づけになります。
なお、ウイスキー検定は知識を幅広く楽しく測る側面もあり、ウイスキーにまつわる歴史や文化、ブランドに関するエピソードなど、比較的エンタメ性のある出題が含まれることもあります。
そのため「まずはウイスキーの世界を楽しみながら学びたい」という人には検定が向いており、「制度・製造・定義まで体系的に深掘りしたい」という人にはエキスパートが適している、と考えると分かりやすいでしょう。
プロフェッショナルとの違い
エキスパートは知識中心。
プロフェッショナルは
- テイスティング
- 論述
- 総合的鑑定能力
が求められます。
将来的に上位資格を目指すなら、基礎固めとしてエキスパートは非常に重要です。
比較一覧
| 項目 | ウイスキーエキスパート | ウイスキープロフェッショナル |
|---|---|---|
| 試験形式 | 筆記試験(選択式) | 筆記+テイスティング+論述 |
| 求められる力 | 知識の体系的理解 | 官能評価力+表現力+総合理解 |
| 難易度 | 対策型(合格率約60〜70%) | 上位資格(より高度) |
| 位置づけ | コニサー制度の第一段階 | エキスパート合格後の上位段階 |
こうして並べると、エキスパートは“知識の土台作り”、プロフェッショナルは“実践的な鑑定力の証明”という違いがより明確になります。

取得メリット
ここでは、実際にどんな場面で役立つのかを現実的に整理します。
① 仕事での信頼性が上がる
飲食店・バー・酒販店・インポーター勤務など、ウイスキーを扱う仕事では「体系的に学んでいる証明」になります。
とくに接客の現場では、
- 産地や製法を根拠をもって説明できる
- お客様の質問に即答できる
- 価格差の理由を論理的に伝えられる
といった差が明確に出ます。
安井資格より、取得のために勉強した期間が現場では一番役に立ちますよ!
また飲食店経営者としてウイスキーを多数導入しようと考えたとき、確実に最低限一人は「ウイスキーエキスパート」取得していることをお勧めします。
ウイスキーの知識面で、共有言語が生まれるだけで、ウイスキーの販売実績に直結しやすいです。

※飲食事業者向け記事となっております。
② 名刺・プロフィールに書ける
「ウイスキーエキスパート取得」と明記できることは、ブログ運営やSNS発信、セミナー登壇時の信頼材料になります。
資格そのものが収益を生むわけではありませんが、“信用の初速”を上げる効果はあります。
安井ただのウイスキー好きとウイスキーエキスパート、どっちが発言力があるかは明確だと思います。
③ プロフェッショナルへの挑戦資格になる
上位資格であるプロフェッショナルを受験するには、エキスパート合格が前提です。
本気でウイスキーを専門分野にしたい人にとっては、通過点でありながら重要な一歩になります。
④ 学び直しによる知識の再構築
独学で断片的に学んできた知識を、制度・製造・歴史・法規という軸で再整理できます。
「なんとなく知っている」状態から、「説明できる」状態へ。
これが最大のメリットかもしれません。
資格はゴールではなく、スタートライン。
どう活かすかで価値が決まります。
よくある質問(FAQ)
まとめ
ウイスキーエキスパートは、単なる試験ではありません。
それは、自分の中にある「好き」を、体系だった“専門性”へと引き上げるプロセスです。
最初は不安があって当然です。
安井難易度は? 時間は足りる? 独学で大丈夫?
僕も同じところからスタートしました。
ですが、製造や法規を理解し、歴史の流れを整理し、一本一本のウイスキーを意識して味わうようになると、景色が変わります。
ラベルの裏側が読めるようになり、樽の違いが立体的に見えてくる。
資格はその“結果”にすぎません。
大切なのは、学ぶ過程でウイスキーとの向き合い方が変わることです。
そしてもし将来、プロフェッショナルやその先を目指すなら、エキスパートへの向き合い方は確実に土台になります。
迷っているなら、まずは一歩踏み出してみてください。
計画的に積み重ねれば、合格は十分現実的な目標です。
その先にあるのは、「詳しい人」ではなく、「語れる人」になる未来です。


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