アバフェルディ蒸留所は、デュワーズの中核原酒を支える南ハイランドの蒸留所です。穏やかな甘み、蜂蜜のような丸み、素直で厚みのある酒質が持ち味。
派手な個性よりも、飲みやすさと上質なバランスを重視する人におすすめのウイスキーです。ブレンデッドの核として磨かれた歴史・設計を知ると、アバフェルディ蒸留所の魅力はより明確に見えてきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 味わい | 蜂蜜、やわらかい麦の甘み、穏やかな果実感、なめらかな余韻 |
| タイプ | 甘くバランス型のハイランドモルト |
| おすすめ層 | 初心者 甘いウイスキーが好きな人 食中酒も探している人 |
| 代表ボトル | アバフェルディ 12年、16年、21年 |
アバフェルディ蒸留所の基本情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地域 | 南ハイランド |
| 創業 | 1896年 |
| 創業者 | ジョン・デュワー&サンズ社 |
| オーナー | バカルディ |
| 仕込み水 | テイ川支流のピティリー川 |
| 発酵槽 | シベリア産カラマツ8基、ステンレス3基 |
| 蒸留回数 | 2回蒸留 |
| スチル形状 | 大型ストレートヘッドのポットスチル |
| 生産能力 | 340万L(100%alc換算) |
アバフェルディ蒸留所の味わいの特徴
香り・味・余韻
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アロマ | 蜂蜜、バニラ、やわらかい麦芽、黄桃、ほのかな花感 |
| フレーバー | モルトの甘み、穏やかな樽香、やさしいスパイス、なめらかな口当たり |
| フィニッシュ | 角の少ない甘みが続き、軽いオークとスパイスが穏やかに残る |
味の特徴が生まれる理由
アバフェルディ蒸留所の作るウイスキーは、ハニーフレーバーを重視した甘くバランスのいいハイランドモルトタイプです。ハチミツのような甘さや華やかさを生みやすいといわれている昔ながらの製法を採用しています。
一例を挙げれば、発酵工程の木製発酵槽で72時間。スコッチでは通常50~60時間ほどの発酵であることが多いですが、アバフェルディ蒸留所では発酵時間が長めです。発酵時間が長いと乳酸菌をはじめイースト以外の菌が複雑に発酵し始め、原酒が華やかになるといわれています。
またクラシカルな木製発酵槽は、より複雑な発酵となりやすいです。このように非効率でも古典的な製法を行うことで、甘く華やかでバランスのいいモルトが生まれているのです。
アバフェルディ蒸留所の製造工程の特徴

アバフェルディ蒸留所の製法は、甘く華やかな原酒を求める一方で重くなりすぎないことも重視しているように感じられます。
デュワーズのキーモルトということもあり、バランスのいいタイプが蒸留所のスタンダードのようです。
原料
仕込み水は、ピティリー川を水源に使用。この川は「水の神のプール」と呼ばれており、透明で澄み渡る水が流れています。かつては、砂金が採取できたことでも有名です。
発酵
木製の発酵槽で72時間。平均的なスコッチ蒸留所の中では、やや長めの発酵時間となっています。このような昔ながらの発酵工程を採用することで、「フルーティさ」や「華やかさ」、「ハニーフレーバー」などを生みやすくしています。
蒸留
大型のストレートヘッド型のポットスチルを採用。容量の大きい蒸留器を使うことで還流が起きやすく、癖の少なくライトな酒質になりやすい傾向があります。
アバフェルディ蒸留所の歴史

アバフェルディ蒸留所は1896年、デュワーズの原酒を安定確保する目的で設立されました。最初からシングルモルトを造るための蒸留所ではなく、ブレンデッド(デュワーズ)を支える品質と供給力が求められていた蒸留所です。
操業開始は1898年。創業者はジョン・デュワー&サンズ社の2代目であるアレキサンダーとトーマスのデュワー兄弟。彼らは良質な水源があり、父であるジョン・デュワーの出身地であるピトロッホリーに蒸留所を建てました。
1890年代は、「スコッチブレンデッドの黄金時代」であり、アバフェルディ蒸留所の原酒で作られた「デュワーズ ホワイトラベル」はスコッチの代名詞となっていきました。特にアメリカでの人気が高く、「ホワイトハウスに常備されているウイスキー」といわれていたほどです。
1925年以降は、DCL社(のちのディアジオ)が所有し、UD社となった1991年に初めてシングルモルトをリリースしています。それが「花と動物シリーズ」のアバフェルディ15年でラベルには蒸留所周辺の森に生息する赤リスが描かれています。
1998年にバカルディ社が買収。その時に花と動物シリーズのアバフェルディは市場から姿を消し、アバフェルディ15年は幻のウイスキーの一つとなっています。バカルディ社は蒸留所に大改修工事を行い、「デュワーズ・ワールド・オブ・ウイスキー」という博物館をオープン。ツアーも整備されており、人気の観光スポットとなっております。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1896年 | アバフェルディ蒸留所設立 |
| 1898年 | 操業開始 |
| 1890年代 | デュワーズ ホワイトラベルが世界的に普及 |
| 1925年 | DCL社が所有 |
| 1991年 | 花と動物シリーズで初のシングルモルトリリース |
| 1998年 | バカルディ社が買収 |
| 2000年代以降 | 観光施設「デュワーズ・ワールド・オブ・ウイスキー」整備 |
アバフェルディ蒸留所の代表的なボトル
アバフェルディ 12年
| ジャンル | シングルモルト |
|---|---|
| 生産国 | スコットランド・ハイランド |
| アルコール度数 | 40% |
| 樽 | ‐ |
| 熟成年数 | 12年 |
「蜂蜜の余韻が続く、気品あるハイランド」
デュワーズのキーモルトを担うアバフェルディ蒸溜所のフラッグシップ「12年」。
ハイランドらしい穏やかで上品な酒質に、ふくよかさが重なり、バランスの取れた味わいに仕上がっています。
熟した赤リンゴやナッツ、はちみつの甘やかな香りに、ほのかなスパイスが奥行きを与え、コクのある余韻が心地よく続きます。
ストレートでじっくりと楽しむのはもちろん、ハイボールでも華やかさが引き立つ一本です。
はちみつ、赤リンゴ、ナッツ、シナモンの甘く華やかな香り
アバフェルディ 16年
| ジャンル | シングルモルト |
|---|---|
| 生産国 | スコットランド・ハイランド |
| アルコール度数 | 40% |
| 樽 | ‐ |
| 熟成年数 | 16年 |
「蜂蜜と果実が溶け合う、円熟のハイランド」
デュワーズのキーモルトを担うアバフェルディ蒸溜所が手がける「16年」。
ピティリー川の清冽な水と伝統的なポットスチルによる丁寧な製法で造られ、バーボン樽熟成によって蜂蜜のような甘さとクリーミーなコクを引き出しています。
オレンジトフィーやナッツの香りに、熟した果実のフルーティーさが重なり、奥行きある味わいに仕上がっています。
ストレートでじっくりと、あるいはロックでまろやかさを楽しむのがおすすめです。
オレンジトフィー、ナッツ、蜂蜜の濃厚で甘やかな香り
アバフェルディ 21年
「蜂蜜が深化する、至高の長期熟成」
1898年創業、デュワーズの核となるモルトを担うアバフェルディ蒸溜所が誇る長熟ボトル「21年」。
ピティリー川の清冽な水と、木製発酵槽による約70時間の長時間発酵が、蜂蜜のような甘く豊かなアロマを生み出します。
バーボン樽を主体に長期熟成された原酒は、円熟したフルーティーさと重厚なコクを兼ね備え、滑らかで奥行きある味わいに昇華。
ストレートでじっくりと、その完成度を堪能したい逸品です。
濃厚な蜂蜜、熟した果実、トフィー、やわらかなウッディ香
シェフがおすすめ!アバフェルディにおすすめの飲み方・ペアリング
アバフェルディ蒸留所のウイスキーは、蜂蜜のような甘みと穏やかな厚みがあります。
そのため料理と合わせても尖りにくいのが強みです。
- ストレート
アバフェルディははちみつや穀物など複雑なフレーバーを持っているため、ストレートで風味を確かめながら楽しむのがおすすめです! - 少量加水
甘さと花っぽさが開きやすく、アバフェルディ蒸留所らしいやわらかさが見えやすくなります。初心者には特に相性が良いです。 - ハイボール
厚みがありながらも癖がなく、食中酒として優秀です。炭酸で割っても甘みの芯が残ります。一番デュワーズらしさを感じられるかもしれません。
料理人視点のペアリング
アバフェルディは甘いフレーバーを持つバランスタイプのシングルモルトスコッチウイスキー。
ハイボールで楽しめば、食中酒として幅広い料理と合わせることができます。
またストレートやロックならアップルパイやミルクチョコレートなどがおすすめです。
- 鶏もも肉の照り焼き
タレの甘辛さと、アバフェルディ蒸留所の蜂蜜感がよくつながります。 - 豚肉のロースト はちみつマスタード添え
ウイスキー側の甘さと料理の香ばしさが重なり、樽由来のバニラ感も活きます。 - アップルタルト
穏やかな果実味と樽の甘さが自然に寄り添います。食後酒として完成度が高い組み合わせです。 - ミルクチョコレートやフィナンシェ
強いカカオより、やさしい甘さの菓子の方がアバフェルディ蒸留所の持ち味を壊しません。
まとめ
アバフェルディ蒸留所は、デュワーズの中核原酒として設計された「甘さを活かすためのバランス型モルト」です。重すぎず軽すぎない酒質により、蜂蜜やバニラといった樽由来の甘みが素直に表れ、飲みやすさと厚みを両立しています。
とくに以下のような人におすすめです。
- 甘いウイスキーが好きな人
- 初心者で飲みやすい1本を探している人
- 食事と合わせやすいウイスキーを探している人
アバフェルディ蒸留所は長年デュワーズを支えてきた蒸留所。ぜひデュワーズと飲み比べながらお楽しみください。



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